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講演会「子どもを犯罪から守るために」被害防止教育と地域安全マップ

  • 更新日時:2010/02/16 (火) 15:02
  • 講演会
講師
小宮 信夫 先生
プロフィール
立正大学文学部社会学科 助教授(社会学博士)
ケンブリッジ大学大学院犯罪学研究科修了。法務省、国連アジア極東犯罪防止研修所、法務総合研究所などを経て現職。専攻は犯罪社会学。現在、東京都「治安対策専門家会議」委員、警察庁「少年非行防止法制に関する研究会」委員を務める。
開催日時
平成17年6月4日(土)13:00~14:45
開催場所
富山県総合福祉会館(サンシップとやま)
演題
「子どもを犯罪から守るために」~被害防止教育と地域安全マップ~

地域の安全を守るためには犯罪理論をふまえて活動することが必要である。日本では「犯罪原因論」を基にした防犯活動が行われているが、これは犯罪の 原因を取り除くことが安全な社会をつくるという考え方であり、犯罪者を検挙し更正させることが目的となっている。しかし欧米では、20年以上前から、この 理論を基に活動が実践されたが、犯罪が減らないということがわかり、現在では「犯罪機会論」が主流となっている。「犯罪機会論」は、犯罪を起こす機会・場 所が無ければ犯罪は起きないという理論であり、犯罪を未然に防ぐ要素として「抵抗性」「監視性」「領域性」の3つを定義している。「抵抗性」は護身術や防 犯ブザーなどで犯罪者に抵抗する力をいうが、これは最後の手段である。「監視性」は犯罪が起きる死角を無くするという考え方であり、例えば校舎内、道路、 公園などの見通しを良くすることなどがある。「領域性」は犯罪者が侵入できなくすることであり、例えば学校の門を閉めるなど、関係者以外の侵入を制限する ことである。また、物理的に区切らなくても、門に人が立つ、定期的にパトロールするというように、心理的に”領域(縄張り)”を示すことも有効である。

自分達の地域を守ることを考えた場合、「抵抗性」は犯罪者に抵抗する”武器”であり、「監視性」「領域性」は犯罪が起きない”城づくり”である。子 供の安全を守る”城づくり”として、子供達が自ら地域を回り、自らの目で危険な場所を探し、それをマップ化する「地域安全マップづくり」が効果的である。 子供達自身が、犯罪が置きそうな場所を指摘・排除・監視することで物理的・精神的に強固な「監視性」「領域性」が生まれ、犯罪の起きない地域づくりを行う ことができる。ぜひ「地域安全マップづくり」を実行していただきたい。

聴講者の感想

子供を犯罪から守るためには、どのような犯罪に巻き込まれやすいか、どのような場所が危険なのかを、子供たち自身で考えさせる必要があります。つまり事前に危険を察知し、回避する力(危険回避能力)を高めることが重要であると今回の講演で強く感じました。

犯罪の被害防止教育を行うには、まず犯罪に強い3要素

  1. 抵抗性(犯罪者の力をどのように返すか)
  2. 領域性(犯罪者を自分たちの領域に入れない、なわばり意識を持つ)
  3. 監視性(当事者意識を持つ)

を考え、子供たちを犯罪機会に近づけないことです。そのためには子供たち自身で作成する地域安全マップが非常に効果的だと小宮先生はおっしゃいま す。自分たちの通学路の危険箇所を自分たちで発見し、そこではどのような犯罪にあう可能性があるか、その犯罪にあわないためにはどうしたらいいかを考え、 後輩にも伝えていくのです。地域安全マップを作成する過程で高められるコミュニケーション能力にも期待できます。学校教育の中で取り入れ、質の高い地域安 全マップが早く作成されることを望みます。また家庭内でも危険回避について話し合ってみるのもいいかもしれません。 本来の被害防止教育を考えさせられる大変よいお話でした。

参考

小宮先生のホームページは、http://www.ris.ac.jp/komiya/ でご覧になれます。

地域安全マップ・犯罪機会論に関する著書

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